とある理系院生のブログ

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理系大学院生の僕が、就活や研究生活を通して得られたことや考えていることなどを記事にしていきます!

【必読!】リチウムイオン電池が未来を拓く ~書評~

こんにちは。

理系大学院生のたけし(@takecha11)です。

 

今回は、吉野彰さんの「リチウムイオン電池が未来を拓く」

という本を読んだのでその書評をします。

 

ノーベル賞受賞で話題になったリチウムイオン電池について、

吉野彰さん本人が書かれている本です。

 

読み始めたらそのまま一気読みするほど面白い本でしたので、

ここで紹介していきたいと思います。

 

リチウムイオン電池が未来を拓く

リチウムイオン電池が未来を拓く

 

 

読んだ動機は?

 

日本人がノーベル賞を獲ったということで、

リチウムイオン電池(LIB)に興味を持ち、購入しました。


LIBについては就活の時からよく聞いていましたが、

一体どんなものなのかは理解していなかったのです。


なので、化学を専攻する学生として一度勉強してみるのもアリだなと思い、

この本を手に取りました。

 

ノーベル賞受賞会見などで見た開発者の吉野彰さん。

彼の朗らかな人柄に惹かれた人も多いのではないでしょうか?

私もその一人で、その人の書いた本を読んでみたいという気持ちもありました。

 

また、この本を読むことで企業における研究開発に伴う苦労などを知れば、

化学メーカーに入社後も役に立ちそうだと感じたのも一つのきっかけですね。

 

 

 

本の内容は?

 

2019年ノーベル化学賞に輝いたリチウムイオン電池(LIB)の開発の話です。

本書は、LIBの原理などについての学術的な説明は最小限に収まっており、

開発に伴うブレイクスルーやそれに伴う苦労などが主に綴られております。

 

このような1人の研究開発秘話を知れる機会はあまりないので、

貴重な経験になるのではないでしょうか。

 

著者はどんな人?

 

みなさんよくご存じの旭化成名誉フェロー吉野彰さんです。

2019年にノーベル化学賞を受賞されました。

本当におめでたい。日本の誇りですね。

 

ちなみに、以前に欧州発明家賞なども受賞されており、

素晴らしい経歴をお持ちのお方ですね。

 

詳しくは以下を参照してください。

wikipedia-吉野彰

 

リチウムイオン電池ってなに?


リチウムイオン電池とは、かなり簡単に言うと、繰り返し充電ができる二次電池です。

 

軽量・小型・高電圧という特性があるので、

携帯電話やノートパソコンなどに使われております。

みなさん薄型スマホなどを使っていると思いますが、

その中にはLIBが搭載されているんですね。

 

つまり、現代社会には欠かせない電池ということです!

 

さらに、今後は電気自動車が期待されますね。

どこまで市場が大きくなるのでしょうか。

化学メーカーで働く私にとって、今後が楽しみです。

 

 

 

感想

 

全体的に読みやすい文章で、非常にすらすら読めました。(2~3時間で読了)

素人にも分かりやすく書いてくれていて、

ざっくりとしたリチウムイオン電池についての知識が身に付きます。

 

特にLIB開発の波乱万丈物語は、化学メーカーに入社する自分にとって刺激的でした。

非常にワクワクする内容のものであったので、

この気持ちを忘れないようにしたいですね。

 

注目ポイント

 

LIB開発におけるブレイクスルー

 

開発に伴う苦労話などは、読んでいて感慨深いものがありました。 

 

負極は開発できたが正極が見つからない。

そのような状況で悶々としていた日々。(この気持ちよく分かります会社で年末の大掃除が終わった午後、書類を整理しながら偶然見つけたグッドイナフ教授の論文でコバルト酸リチウム(正極材料)を見つける。そして早速、年明けから早速開発に取り組む。

 

ぼくは、この時の「偶然をすぐ行動に移せる行動力」が素晴らしいと思いました。

 

・常にアンテナを張っているからこそ偶然に気付ける

・偶然見つけることもすごいが、なんといってもそれをすぐ形にする行動力

この二点が、研究者にとっては非常に大事な素養であると感じました。

 

鋭い洞察力と行動力を併せ持った研究者。

そんな人材を目指していきたいですね。

 

特許についての話

 

個人的に、後半の特許についての話も興味深かったです。

企業研究者にとっては切っても切り離せないであろう特許申請。

その流れを富士山登頂に例えて説明されていました。

 

その話は非常に分かりやすく、すんなりと理解できました。

化学メーカー志望であれば一読の価値はあると思いますね。

具体的な内容は本書に譲りますが、要約すると以下のようになります。

・一番大事な「頂上」を抑える

・登頂ルートの要所を抑える

以上二点に気を付けることで、後から登頂する人たちに権利を奪われないで済む、という内容です。

 

大学では特許申請などはあまりしないので、僕にとっては新鮮な話でした。

企業での研究の難しさを感じると同時に、一種のやりがいも感じました。

未来にワクワクしますね。

 

 

まとめ

 

読む前はまったくの分野外でLIBについては知らなかったのですが、

読後にはある程度の知識が身に付きました。

 

また、開発に伴う苦労や面白話などを知ることで、

企業で研究することに対しての理解が深まり、興味が湧きますね。

 

本書は、冒頭でも述べましたがLIBについての専門的な内容はあまり書かれていません。

なので、文系の方でもすらすらと読めると思います。

化学メーカー志望であればぜひ一読することを強くおすすめします。

それ以外の人でも、日本人がノーベル賞を獲ったことに誇りを持てる内容であると思います。

 

どんな方にも楽しくすらすらと読んでいただける内容ですね。

 

余談ですが、旭化成はこれから就活生人気が上がっていくのでしょうか。

ただでさえ人気が高いのに。。。笑

さらに研究開発にお金を回せる社風が根付いていくと思うので、

理系就活生にとってはより一層魅力的な会社になるのではないでしょうか。

この本を読んでいても、自由闊達な社風が見え隠れしたので、

働いていて楽しそうな印象を抱きましたね。

 

ということで、「リチウムイオン電池が未来を拓く」についての書評でした。

次は我々がノーベル賞級の研究をする番ですね。笑

 

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